期待に胸を膨らまし、成田に向かう私と友人。
地方出身の私たちは、二人とも飛行機は初めて！

当時の空港の正式名称は　新東京国際空港。

空港についた途端からドキドキ、ワクワク、ソワソワ・・・

研修旅行という名目だけあって、同行者が集合したあとは、それぞれにチケットが配られ

チェックインの手続き、出国の手続き等の案内がされ、搭乗ゲートでの集合時間が伝えられ

各自解散。免税店でウロウロしても、高校生の分際では一体何を買っていいやらわからず、ただフラフラするばかり。

飛行機に乗ってからも、ヘッドフォンやシートポケットに入ってる雑誌やら見ながら、常にソワソワ。
エンジンが始動して離陸までは超ドキドキ。あっという間に乗継の韓国・金浦空港へ。

乗り継ぎ時間もまた免税店をウロウロしながら、販売されているキムチの試食ばかりしていた。ここで、半数以上の乗客が韓国で降り、入れ替えにたくさんの韓国人が飛行機に乗り込んできた。

さて、いよいよロサンゼルスまでのロングフライト。

そいおえば、あの頃はまだ機内に喫煙席があった時代。

後部座席が喫煙席となっており、後ろからはタバコの臭いと煙が充満。

今となっては過去の遺物となっているトイレ等にある灰皿だけど、当時はちゃんと使われていたんだな～と思うと、なんだか不思議な気分。

そうそう！韓国から乗る人たちの多くが、免税店で購入したのか真空パックのキムチを持ち込む人たちがやたらと多かった。袋一杯にキムチを買いこみ、それを座席頭上のスペースに収納。

やっぱり韓国人はキムチなしじゃ生活できないんだなぁ～と関心していたけど、
当時日本人の観光客も、やはり梅干しやらいろんな日本食材を旅行に持って行ってたなぁ～。

大韓航空といえば、1983年にソ連の領空を犯したとされ、戦闘機に撃墜された航空会社というイメージがあり、ちょっと不安だった。

（実は1987年の11月に北朝鮮の工作員による、大韓航空機爆破事件がおきたんだけど・・・）

でもCAさんたちは美人揃いだったし、機内食でビビンパがでた覚えはないけれど、食事が美味しくて、初めての飛行機もかなり快適だった・・・・・・・・・はずだった。

しかし！

まもなくロサンゼルスに着く・・・というころ、機内で異臭騒ぎ！！

たしかに、どこからともなく、何とも言えない臭いがしてくるのだ。
あちこちの人が騒いでいる。

臭いの原因を確認しようと、それぞれが座席上部の収納スペースを開けてみると・・・




韓国から持ち込んだキムチの真空パックが気圧の関係でパンパンに膨れ上がっている。
たくさん持ち込まれたキムチのいくつかが、収納スペース内で爆発していたのだ！

そこから漂う臭い、いや香りは、酸っぱい様なニンニク臭たっぷりで、

時には目が痛くなるような・・・　とっても刺激的なもので、キムチは驚異の爆弾と化してしまった。

しかも、中には爆発したキムチが収納スペースに漏れて、同じスペースにしまっていた
衣類やバッグ類に臭いや汚れが付いてしまう人たちも・・・

幸いにも私の周囲は日本人ばかりで、キムチを収納スペースに入れている人がおらず
災難からは逃れられたものの、ロサンゼルス着陸数時間前からは、キムチ爆弾のお蔭で

寛ぐことすらできなかった。


こうして私の生まれて初めてのフライトは、キムチの香りと共に幕を閉じた。

未だに飛行機というと、キムチ爆弾を思い出してしまう。

いや、思い出すというよりも、なんとなく飛行機に乗るとキムチの臭いがしている錯覚に陥る。

人間って、視覚的な思い出よりも嗅覚に残った思い出はなかなか消えることがない、

忘れられない思い出となっていつまでも残るのだろう・・・